32型シアター

32型のテレビで見た映画とその周辺のブログです。

ムーンライト/Moonlight

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作品紹介

 ムーンライト/Moonlight
 2016年 アメリ
 時間:111分
 ジャンル:ドラマ IMDbより 

 

 監督:バリー・ジェンキンス
 大人のシャロントレヴァンテ・ローズ
 ポーラ:ナオミ・ハリス
 テレサジャネール・モネイ

あらすじ

マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。そんな中、シャロンは同性のケビンを好きになる。そのことを誰にも言わなかったが……。

                             シネマトゥデイ

日本と世界の評価

評価

 Yahoo!映画:3.64 評価2673件   2019/9/29
 IMDb:7.4(評価5換算:3.89) 評価235290件 2019/9/29
 Rotten Tomatoes 2019/9/29
  TOMATOMETER:98% 評価363件
  AUDIENCE SCORE:79% Average Rating:3.94 評価44756件
 Metascore:99  

 Yahoo!映画とIMDbとRotten Tomatoes:AUDIENCE SCORE

 単純平均評価:3.82

評価まとめ

 良い評価:傑作、泣けた、リアル、完璧

 悪い評価:薄っぺらい、気持ち悪い、意味が分からない、つまらない

評価は高いですね。その中では日本は低い方かな。Top 1000 Votersの評価が0.8も下がっているけどTOMATOMETERは98%と意見が割れましたね。若者ほど評価が高いです。女性も少し高めかな。

感想

この映画は3部構成になっています。1部は少年期、2部は高校生期、3部は成年期です。主人公はシャロン。母親はドラッグ中毒で父親はいない環境。学校では「おかま」といじめられる行き場のない環境です。
1部2部は成長の物語で3部はそれを回収していくような内容です。
この映画、白人がほとんど出てきません。だからいわゆる白人に差別される黒人という図式はこの映画にはありません。
この物語の中で黒人はマイノリティではありません。マジョリティです。
その中でシャロンの成長と息苦しさを描いています。


1部でシャロンの成長を支えてくれるのは売人のフアンと恋人のテレサです。
シャロンは無口で伏し目がちです。瞳の中の白目が際立ち、目で演技をしているように見えます。
フアンはドラッグの売人の元締めでいかつい見た目ですが白い歯を見せて笑うと一気に親しみがわきます。歯で演技しているよう。
人間不信気味のシャロンとも距離を縮められる人間性を持っています。
フアンは父親代わりであり、男の生き方を教えてくれる指導者です。
フアンの教えは自分の道は自分で決めろです。


シャロンとフアンの物語のように映画は進んでいきますが2部ではフアンは出てきません。フアンは亡くなっています。環境の悪さがうかがえます。
高校生になったシャロンですが、環境はもっと悪くなります。
母親のドラッグ中毒は少年期よりも進み、いじめは暴力性が増してきます。
高校生のシャロンを支えるのは幼なじみのケヴィンです。
夜の砂浜でケヴィンとマリファナをキメてると接近してキスする二人。
ケヴィンの手はシャロン股間に。とシャロンのゲイ体験を描くのですがこれが良く分かりません。ケヴィンはゲイではありません。
大事なシーンなはずなのに自分には分からない。
海とムーンライトとマリファナが作ったファンタジーとして取りあえずは処理します。


次の日ケヴィンはレゲエ野郎からシャロンを殴るように言われます。
そしてケヴィンはシャロンを殴ります。ケヴィンは立ち上がるなとシャロンに言いますがシャロンは立ち上がりケヴィンに殴られ続けます。
このシーンは辛いですね。ケヴィンは同級生の手前タフでなければいけない。
でもレゲエ野郎をぶん殴るのは怖い。受け入れられる範囲での妥協を受け入れていく心情が表れています。
でも重症なのはシャロンです。ケヴィンからの裏切り、自分には何も無い事に気付いてしまった怒り、絶望、悲しみ、やけくそがシャロンを立ち上がらせているのかもしれません。


次の日シャロンは決意をもって学校に向かいます。そしてクラスに着くと、かばんを置きイスを持ち上げレゲエ野郎に振り下ろします。
シャロンは警察に連れていかれ少年院に入れられてしまいます。
大人になったシャロンはマッチョになっています。顔つきも悪く50セントみたいな風貌です。
そして売人としてのし上がっています。部下の売人はシャロンの顔色を窺っています。
武装しているのは筋肉だけではありません。売人としてのし上がるために自分の心を隠し、売人の幹部として弱みを見せないように武装しています。


そんなときケヴィンから電話がかかってきます。あの時の事を謝りたい。俺は臆病者だった。今は料理人をしてる。今度食べに来ないかと。
同時期に母親とも会います。その時母親から謝罪を受けます。あなたを愛してる。でも私の事はいい。愛が必要な時に与えなかったから。愛さなくていい。でもあんたを愛してる。
自分は結構グッときました。
ずっとわだかまりに思っていたことを母親から言われてシャロンは涙をこぼします。
このあとケヴィンにも会います。近況を話し合う二人。最後にケヴィンの家でシャロンはケヴィンに言います。俺に触れたのは一人。お前だけだ。


1部2部では辛いながらもストーリーは前に進みますが、3部では時間は進んでるけど母親やケヴィンとストーリーが戻っているように見えます。
3部の始まりも母親の怒鳴る夢から始まります。
自分の道は自分で決めろ。で手に入れたものは自分の誇りでもあるのですが同時に虚しさを抱えているようにも見えます。
一生懸命頑張って手に入れたものはこんなもんか。結果は売人かと。
それは手に入れたとも言えるし追い詰められたとも見えます。
頑張ってもまだなお残るこの怒りや悲しみは何か。


3部で母親の謝罪やケヴィンの謝罪を通じて心が解けていくような感覚を味わいます。それは自分のせいでは無いと言ってもらえているようにも感じます。
自分で決めたはずの道なのに満足を得られない現状を母親やケヴィンの謝罪を通じて少し流せたように見えました。
最後にケヴィンと寄り添うシーンが何を意味しているのかは鈍い私には分かりませんでした。
が3部でシャロンが少し救われたことに希望を見ることが出来ました。
これはゲイの物語では無く、マイノリティの物語、寄る辺なき男の物語だと思いました。
内容以外にも見せる力を持った映像で良かったと思います。
役者陣もパワーが伝わってきて見応えがあります。
評価は3.89点と高得点ですが+0.2点で4.09点とします。

 

 

                      評価  4.09点